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クロアチアの代表的な料理15選!定番料理・伝統料理からスイーツまで
クロアチアは、その美しい景観や豊かな歴史だけでなく、多彩で美味しい料理でも知られています。アドリア海に面したこの国では、海の幸を活かしたシーフード料理から、内陸部の伝統的な肉料理、さらには独自のスイーツまで、魅力的なグルメ体験が楽しめます。この記事では、クロアチアの代表的な料理を16品厳選してご紹介します。定番料理から伝統料理、そして甘いデザートまで、クロアチアの美食の魅力を存分にお届けします。クロアチア料理の多様性と深い味わいをぜひ堪能してください。
2024年06月25日更新
クロアチアの食文化
クロアチアの食文化は、地域によって大きく異なります。内陸部ではトルコ、ハンガリー、オーストリアの影響を受けた肉料理が中心で、アドリア海沿岸部ではイタリア料理に似たシーフード料理が主流です。 クロアチア人は食事の前にプラムやアプリコットなどの果物や蜂蜜を発酵させた蒸留酒のラキヤで乾杯するのが習慣です。 また、カトリック信者が多いため、食事の前に簡単に十字を切ってから食べ始めるのが一般的です。 コーヒーを飲みながら何時間もおしゃべりをするのもクロアチア流です。 食事のマナーやルールは特にありませんが、ダルマチア地方の人々は「人生も料理もシンプルが一番」という考え方で、素材の味を最大限に引き出す調理法を好みます。クロアチアのおすすめ料理16選
冬にぴったり!温かみのある「サルマ」
サルマは、発酵キャベツの葉で挽肉や米などの具材を巻いたロールキャベツ料理で、クロアチアやセルビアなどバルカン半島の冬の定番メニューです。 具材には、玉ねぎ、パプリカパウダー、ニンニクなどのスパイスも加えられ、トマトソースで煮込まれます。 キャベツは発酵により水分が抜けて繊維が柔らかくなっているため、下茹でせずに巻くことができます。 加熱で引き出されるキャベツの甘みと発酵による酸味、肉の旨味が染み込んだ米が絶妙に絡み合い、滋味あふれる一品に仕上がります。 冷蔵庫で数日寝かせると味がなじんでさらに美味しくなるそうです。スパイシーな風味がたまらない「クーレン」
クーレンは、クロアチアのスラボニア地方で作られる伝統的な生ソーセージです。豚肉に唐辛子、ニンニク、パプリカなどのスパイスを加えて腸詰めし、数ヶ月間燻製して熟成させます。 赤唐辛子のピリッとした辛味とスパイシーな香りが特徴的で、スライスしてそのまま食べたり、サンドイッチに挟んだりして楽しまれます。 クミンやナツメグなども加えられることがあり、複雑な風味が口いっぱいに広がります。 クロアチアの人々にとって欠かせない味であり、お土産としても人気の高い食べ物です。具だくさんのクロアチア風ミネストローネ「マネシュトラ」
マネシュトラは、クロアチアの家庭料理の定番スープです。豆、ジャガイモ、ニンジン、セロリ、キャベツなど、その日手に入る野菜をふんだんに使った具沢山のスープで、トマトの酸味とハーブの香りが食欲をそそります。肉や骨付き肉を加えてコクのあるスープに仕上げることもあり、パスタやご飯を入れて食べ応えのある一皿にすることも多いです。 寒い冬の日にほっこりと温まる、まさにクロアチア版ミネストローネとも言えるスープです。
軽く食事を済ませたい時は、マネシュトラとパンだけでもおなかいっぱいになるほどのボリュームがあります。 家庭によってレシピが少しずつ異なるのも、このスープの魅力の一つです。
家庭の味、心温まる「グラーシュ」
グラーシュは、牛肉、玉ねぎ、パプリカなどの野菜をパプリカパウダーで味付けしてじっくり煮込んだ、ハンガリー発祥の家庭料理です。 赤いスープには、ニンジン、ジャガイモ、パースニップ(白ニンジン)、セロリなどの野菜や小さなパスタが入り、野菜の甘みと牛肉の旨味が溶け込んだ優しい味わいに仕上がります。寒い冬の日に家族が集まって食べるのにぴったりの、心温まる一皿です。 ハンガリーの隣国であるクロアチアでも、グラーシュは広く親しまれています。 パプリカパウダーの豊かな風味と彩りが食欲をそそり、野菜がたっぷり入った栄養バランスのよい料理でもあります。
郷土の味わいが広がる「ザゴルスカ風スープ」
ザゴルスカ風スープは、ザグレブの郊外ザゴリエ地方の名物料理で、しっかりとした味付けの野菜シチューです。 たっぷりの野菜とソーセージを煮込んだポトフのようなスープで、野菜がたっぷり入っているので栄養バランスが良いのが特徴です。 あっさりとした味わいなので、胃腸を休ませたい時にもおすすめのスープです。 ダシダを使って作ると、焼肉屋さん風の温まるスープに仕上がります。ジューシーでサクサク「ザグレブ風カツレツ」
ザグレブ風カツレツは、クロアチアの首都ザグレブの名物料理で、ハムとチーズを豚肉で巻き、パン粉をまぶして揚げたカツレツです。揚げたてのカツレツにナイフを入れると、中からとろけたチーズが溢れ出し、ジューシーな肉汁が口いっぱいに広がります。付け合わせには、パンやフライドポテトが一般的です。 この料理は、ヨーロッパで有名なシュニッツェルに似ていますが、ハムとチーズを巻き込む独特のスタイルが特徴です。 家庭でも簡単に作れるレシピがあり、特別な技術を必要としないため、家庭料理としても親しまれています。クロアチアの伝統的な煮込み料理「パシュティツァーダ」
パシュティツァーダは、クロアチアのダルマチア地方で古くから伝わる伝統的な煮込み料理です。牛肉をお酢に漬け込んでから、ベーコン、玉ねぎ、ニンジン、プルーン、赤ワインなどと一緒にじっくりと煮込みます。 酢の風味が牛肉に染み込み、ほのかな酸味が食欲をそそります。 赤ワインとプルーンの芳醇で奥行きのある味わいが特徴的で、肉と野菜の旨味があふれる絶品料理です。 通常はニョッキと一緒に供されることが多いです。 パシュティツァーダは2007年にクロアチアの無形文化遺産のリストに加えられた、真の伝統的なクロアチア料理と言えます。焚火でじっくり焼く「ペカ」
ペカは、クロアチアの伝統的な調理法で、鉄鍋に具材を入れて焚火の熾火でじっくりと焼き上げる料理です。 鍋の中には、肉や野菜、ハーブなどを重ねて入れ、鍋にフタをして、その上に熾火を載せて10分ほど焼きます。 直火の強い火力で一気に焼き上げるのではなく、弱火でゆっくりと火を通すことで、具材の旨味を引き出します。ペカで使う具材は、羊肉や子牛肉、鶏肉、魚介類など様々ですが、ジャガイモは欠かせない食材の一つです。 肉の脂が染み込んだホクホクのジャガイモは格別の味わいです。 焚火を囲んでペカを楽しむことは、クロアチアの人々にとって特別な時間であり、仲間や家族との絆を深める大切な習慣となっています。
海の幸を堪能できる「スカンピ」
スカンピは、イタリア料理やフレンチ料理でよく使われる高級食材で、日本ではアカザエビとも呼ばれています。 北大西洋の冷たい海域で漁獲されるスカンピは、長い爪と鮮やかなオレンジ色が特徴的です。ミソが多くて甘みが強いスカンピは、パスタやスープ、リゾットなどの具材として使われるほか、半分に割ってグリルして食べるのも美味しいです。 独特の甘みとジューシーさが料理に華を添え、見た目も豪華になります。
鮮度の良いスカンピは刺身でも食べられますが、氷でグレースされているため、解凍の際は速やかに行い、低温を保つことが大切です。 イタリア語で「スカンポ」と呼ばれるヨーロッパアカザエビのことを、複数形の「スカンピ」という言葉で表すこともあります。
海の恵みたっぷり「シーフードリゾット」
シーフードリゾットは、新鮮な海の幸をふんだんに使った、クロアチアの人気料理の一つです。あさりやエビ、イカなどの魚介類をオリーブオイルで炒め、トマトやにんにく、白ワインなどの調味料を加えて炊き上げます。 魚介の旨味がお米に染み込み、かつおだしのきいた和風味のリゾットに仕上がります。 魚介に含まれるタウリンには肝臓を強化する働きがあるので、お酒の席にもぴったりの一品です。 仕上げにパセリを散らすと、彩りも鮮やかになります。クロアチアおすすめ料理「トリュフのフジ」
フジ(Fuži)は、クロアチアのイストラ半島の伝統的なパスタです。 イストラ半島は世界有数のトリュフの産地として知られ、黒トリュフと珍しい白トリュフの両方が採れます。 そのトリュフをふんだんに使った、香りも味も濃厚な贅沢なパスタがフジです。 薄く延ばした生地を筒状に巻いた独特の形状をしており、ふわっとした食感が特徴的です。 ミルク香る濃厚なクリームソースを絡めて、黒トリュフをまぶした一品は絶品です。 クロアチアを訪れたら、ぜひ一度は味わっておきたい逸品です。サクサク生地の中にたっぷり具材「ブレク」
ブレクは、サクサクの薄い生地で具材を包んで焼き上げたクロアチアの伝統的なパイ料理です。 生地は小麦粉、水、オリーブオイルなどでシンプルに作られ、具材を包みやすいように薄く伸ばします。 中には、ジャガイモ、玉ねぎ、ほうれん草、チーズなどの具材がたっぷりと詰められ、オーブンでこんがりと焼き上げられます。パイ生地を薄く伸ばすことで、サクサクとした食感に仕上がるのがポイントです。 生地を冷やしておくことで、焼き上がりがよりサクサクになります。 具材の組み合わせは自由自在で、季節の野菜を使ったり、お肉を加えたりとアレンジが楽しめます。
ブレクは、温かいうちに切り分けて食べるのが一般的で、朝食やランチ、軽食にぴったりの一品です。 サクサクの生地とホクホクの具材のハーモニーを、ぜひ一度味わってみてください。
クロアチアの伝統スイーツ「シュトゥルクリ」
シュトゥルクリは、クロアチアのザグレブ地方を中心に古くから親しまれている伝統的なスイーツです。 薄く伸ばした生地にチーズなどの具材を包み、茹でるか焼いて仕上げます。 生地は小麦粉で作られ、中にはフレッシュチーズやサワークリーム、砂糖などが入ります。 茹でたシュトゥルクリは、バターを塗ってから砂糖と粉シナモンをまぶして食べるのが一般的です。 一方、焼いたシュトゥルクリは、サクサクとした食感が楽しめます。 ザグレブのレストラン「La Štruk」は、シュトゥルクリの専門店として有名で、地元の人から観光客まで多くの人々に愛されています。 優しい甘さとモチモチとした食感が特徴の、クロアチアを代表する伝統スイーツです。クリーミーでとろける「クレムシュニテ」
クレムシュニテは、クロアチアで人気の伝統的なケーキです。 薄いパイ生地の間にバニラカスタードクリームがたっぷりと挟まれており、まるでミルフィーユのクリーム増量版のような見た目が特徴的です。 一口食べると、サクサクのパイ生地とクリーミーなカスタードの絶妙なハーモニーが口いっぱいに広がります。 見た目ほどこってりとした甘さではなく、上品な味わいに仕上がっています。クレムシュニテは、クロアチアのサモボル地方が発祥とされ、町の中心地にあるカフェ・プロラズのクレムシュニテは特に有名です。 日本のテレビ番組でタレントのベッキーが「ヨーロッパで一番美味しいケーキ」と絶賛したことでも知られています。
中央ヨーロッパ諸国でよく見られるクレムシュニテですが、国や地域によってアレンジが加えられているのも面白い特徴です。 クロアチアを訪れた際は、ぜひ本場の味を堪能してみてください。
ふわふわドーナツ「クラフナ」
クラフナは、クロアチアの伝統的なドーナツです。 小麦粉、イースト、砂糖、卵などを混ぜて作った生地を発酵させ、油で揚げて作ります。 表面はカリッとしていて、中はふわふわとした食感が特徴です。クラフナには、プレーンなものの他に、ジャムやチョコレートクリームを詰めたものもあります。 粉砂糖をまぶしたり、アイシングでデコレーションを施したりと、見た目にもこだわりが感じられます。
クロアチアでは、クリスマスやイースターなどの祝日に家族や友人とクラフナを楽しむ習慣があります。 また、カフェやベーカリーでも一年中販売されており、コーヒーや紅茶のお供として人気があります。
ふわふわの食感と優しい甘さが魅力の、クロアチアを代表する伝統的なドーナツです。 現地で味わう本場の味は格別ですが、レシピを参考に自宅で作ってみるのもおすすめです。