標高2400mの尾根に造られた、15~16世紀に繁栄した南米最大の大帝国インカの空中都市「マチュピチュ」。正確に切り出された石を積んで建造されたこの都市は、山や…

ペルーの世界遺産は12カ所!絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介
ペルーは、古代文明の遺跡と豊かな自然が織りなす魅力的な国です。ユネスコ世界遺産に登録された12カ所の遺産は、その歴史と文化の深さを物語っています。インカ帝国の神秘的な遺跡マチュピチュ、謎に包まれたナスカの地上絵、植民地時代の面影を残すクスコ市街など、どれも見逃せない魅力にあふれています。本記事では、ペルーを訪れる際に絶対に見ておきたい世界遺産を厳選してご紹介します。壮大な自然と古代文明の遺産が織りなす、ペルーの魅力をお楽しみください。
2024年07月26日更新
ペルーの世界遺産は全部で12カ所登録されている!
ペルーには現在、全12カ所の世界遺産が登録されています。その内訳は、文化遺産が9件、自然遺産が2件、複合遺産が1件となっています。有名なマチュ・ピチュの歴史保護区やクスコ市街、ナスカとパルパの地上絵などのインカ文明の遺跡に加え、ワスカラン国立公園やマヌー国立公園といった豊かな自然遺産も含まれています。これらの世界遺産は、ペルーの多様な文化と歴史、そして壮大な自然景観を反映しており、古代文明から現代に至るまでのペルーの豊かな遺産を世界に示しています。ペルーの世界遺産一覧表
| 世界遺産登録名 | 登録年 | 種別 |
|---|---|---|
| クスコ市街 | 1983 | 文化遺産 |
| マチュ・ピチュ | 1983 | 複合遺産 |
| チャビン(アデュ・ワンタール) | 1985 | 文化遺産 |
| ワスカラン国立公園 | 1985 | 自然遺産 |
| チャン・チャン遺跡 | 1986 | 文化遺産 |
| マヌー国立公園 | 1987 | 自然遺産 |
| リマ歴史地区 | 1988 | 文化遺産 |
| リオ・アビセオ国立公園 | 1990 | 複合遺産 |
| ナスカとフマナ平原の地上絵 | 1994 | 文化遺産 |
| アレキパの歴史地区 | 2000 | 文化遺産 |
| カラル-スーペの聖地 | 2009 | 文化遺産 |
| キュリヤク・サクサウアマンの遺跡 | 2014 | 文化遺産 |
ペルーでおすすめの世界遺産12選
インカ帝国の首都「クスコ市街」
クスコ市街は、インカ帝国の栄華を今に伝える世界遺産です。「太陽の子」を意味するインカ帝国の中心地として、クスコは宇宙の中心と考えられ、「大地のヘソ」を意味する名前が付けられました。街の中心にあるアルマス広場(かつてのワカイパタ)では、太陽の祭や豊穣を願う儀式が盛大に行われ、現在も毎年6月24日に「インティ・ライミ」(太陽の祭り)が開催されています。1533年にスペインによって征服された後も、インカの石造建築とスペイン風の建物が融合した独特の街並みが残され、文化の交錯を今に伝えています。天空の都市「マチュ・ピチュ」
マチュ・ピチュは、標高約2,430メートルのアンデス山脈の尾根に位置する、15世紀に建設されたインカ帝国の遺跡です。「天空都市」や「インカの失われた都市」として知られ、1911年にアメリカの歴史学者ハイラム・ビンガムによって発見されるまで、約400年間忘れ去られていました。遺跡は精巧な石積み技術で建設され、神殿、居住区、段々畑から構成されています。マチュ・ピチュの目的については諸説あり、インカ王族の避暑地や宗教的儀式の場所だったとする説がありますが、文字記録がないため真相は不明です。この神秘的な遺跡は1983年にユネスコ世界遺産に登録され、現在も考古学的調査が続けられています。古代文明の謎「チャビン(アデュ・ワンタール)」
チャビン・デ・ワンタルは、ペルー中部アンデス山脈に位置する重要な考古学遺跡で、紀元前900年から紀元前200年頃に栄えたチャビン文化の中心地でした。この遺跡は、200メートル四方の範囲内に広場を囲む建物群や精巧な石造建築を特徴とし、ジャガーなどの動物をモチーフにした様式化された彫刻が多く見られます。チャビン文化は、ペルーの中部山岳地帯を中心に北部から南部にまで影響を及ぼし、宗教性の強い文化として知られています。考古学者J.C.テーヨによって「アンデス文明の母体」と評されたチャビン文化は、その起源や発展過程について未だ多くの謎が残されており、現在も研究が続けられています。絶景の自然遺産「ワスカラン国立公園」
ワスカラン国立公園は、ペルーの壮大な自然を代表する世界遺産です。アンデス山脈のブランカ山脈に位置し、ペルー最高峰のワスカラン山(標高6,768m)を含む30以上の氷河と100を超える氷河湖を擁しています。1977年に生物圏保護区に指定され、1985年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。公園内では、標高による多様な生態系が見られ、エメラルドグリーンの湖水、白い氷河、高山植物の緑が織りなす絶景が訪れる人々を魅了します。特に、パストルリ氷河やヤンガヌコ湖、ラグーナ69などが有名で、トレッキングや登山の聖地としても知られています。砂漠の中の巨大遺跡「チャン・チャン遺跡」
チャン・チャン遺跡は、ペルー北西部のトルヒーリョ近郊に位置する、チムー王国の首都跡です。「輝ける太陽」を意味するこの遺跡は、南米最大の古代都市遺跡として知られ、1986年にユネスコ世界遺産に登録されました。20平方キロメートルに及ぶ広大な敷地には、日干し煉瓦で作られた高さ10メートルの城壁や、9つの王宮(シウダデラ)、神殿、広場などが迷路のように建ち並んでいます。特徴的なのは、砂漠の暑さを和らげるための網目状の壁や、魚や鳥をモチーフにしたレリーフ装飾です。チムー文明は月と海を重視し、厳格な階級社会を築いていましたが、1470年頃にインカ帝国に征服されました。現在、エルニーニョ現象による浸食が進んでおり、保護活動が行われています。豊かな生物多様性の宝庫「マヌー国立公園」
マヌー国立公園は、ペルーの生物多様性を象徴する世界遺産です。アンデス山脈からアマゾン低地まで広がる地理的な幅により、国立公園としては世界屈指の生物多様性を誇っています。植物種は全体で15,000種を超え、1ヘクタールあたりの樹木種は250種以上に及びます。動物相も豊かで、220種類の哺乳類や1,300種以上の蝶が生息しているとされています。この生命の宝庫は、世界中の学者や調査員が生命を探求するために訪れる場所となっており、熱帯雨林の生態系を保護する重要な役割を果たしています。歴史と現代が交差する「リマ歴史地区」
リマ歴史地区は、1988年にユネスコ世界文化遺産に登録されたペルーの首都リマの中心部に位置する歴史的地域です。1535年にスペインの征服者フランシスコ・ピサロによって建設されたリマは、南アメリカのスペイン帝国全体の首都として繁栄しました。アルマス広場を中心に、カテドラルやサンフランシスコ教会など、コロニアル時代の壮麗な建築物が今も残っています。16世紀から17世紀にかけて海賊からの襲撃に備えて築かれた城壁は、19世紀に取り除かれ、現在は幹線道路や交差点として整備され、旧市街の外周路となっています。リマ歴史地区は、スペイン植民地時代の建築と都市計画の優れた例として、南アメリカの歴史と文化の重要性を今に伝えています。秘境の自然と文化の融合「リオ・アビセオ国立公園」
リオ・アビセオ国立公園は、ペルー北部のアマゾン川上流に位置する複合遺産で、豊かな生物多様性と先住民の文化遺産が融合した貴重な場所です。当初は1983年に自然遺産として登録されましたが、1992年に文化的側面も評価され、複合遺産となりました。公園内には固有種や絶滅危惧種が多く生息し、かつて絶滅したと考えられていた黄色い尾を持つヘンディーウーリーモンキーが再発見されたことでも知られています。同時に、30以上のアメリカ先住民の遺跡が存在し、文化的にも重要な価値を持っています。しかし、生態系と遺跡の脆弱性を考慮して、1986年以降は一般に非公開となっており、貴重な自然と文化遺産の保護が優先されています。謎めいた古代のアート「ナスカとフマナ平原の地上絵」
ナスカとフマナ平原の地上絵は、ペルー南部の乾燥地帯に描かれた巨大な地上絵で、1994年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。紀元300〜600年頃に古代ナスカ人によって描かれたとされるこれらの地上絵は、クモ(46m)、ハチドリ(96m)、サル(55m)、コンドル(135m)など、様々な動物や幾何学模様を含む700以上の図形で構成されています。その制作方法や目的は未だに謎に包まれていますが、現在では農耕や水に関わる儀礼に使用されていたという説が有力です。2016年の第40回世界遺産委員会で、この遺産の名称は「ナスカとパルパの地上絵」に変更されました。これらの地上絵は、空からでないと全体像を把握することが難しく、古代の人々の高度な測量技術と数学的知識を示唆しています。白い街の歴史「アレキパの歴史地区」
アレキパの歴史地区は、ペルー南部に位置する「白い街」として知られる世界遺産です。この街は、近郊で採れる白い火山岩(シジャールと呼ばれる石灰岩)を用いた歴史的建造物が特徴的で、2000年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。アレキパという名前は、インカ帝国の第4代皇帝マイタ・カパックが町の建設を命じた際に「そうだ、ここに留まろう」と言ったことに由来するとされています。ミスティ火山の麓に誕生したこの街には、スペイン植民地時代の建築物が多く残されており、ヨーロッパ風の美しい街並みが楽しめます。アレキパの歴史地区は、ペルーの豊かな文化遺産と独特の建築様式を今に伝える貴重な場所となっています。アメリカ最古の都市「カラル-スーペの聖地」
カラル-スーペの聖地は、アメリカ大陸最古の都市遺跡として知られる重要な考古学的遺産です。ペルーの首都リマから北に約200km、スーペ川流域の砂漠地帯に位置しています。紀元前3000年頃から紀元前1800年頃まで栄えたこの古代都市は、2009年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。遺跡内には円形神殿や広場、住居跡などが残されており、当時の高度な都市計画と社会構造を示しています。カラルの発見により、アメリカ大陸における都市文明の起源が大幅に遡ることとなり、考古学的に非常に重要な意義を持つ遺跡として注目を集めています。古代の要塞「キュリヤク・サクサウアマンの遺跡」
キュリヤク・サクサウアマンの遺跡は、クスコ市街の北部に位置する古代インカ帝国の巨大な要塞遺跡です。この遺跡は、巨大な石块を精巧に組み合わせた三重の城壁が特徴的で、インカ文明の高度な石造建築技術を今に伝えています。城壁の最大の石块は重さ約120トンにも及び、これらの巨石がどのように運ばれ、積み上げられたかは現代でも謎とされています。サクサウアマンは「満足したハヤブサ」という意味を持ち、インカ帝国の軍事力と技術力を象徴する重要な遺跡として知られています。この遺跡は、1983年にクスコ市街とともにユネスコ世界文化遺産に登録され、現在も考古学的調査が続けられています。
























