インドの世界遺産は42カ所!絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介

インドは世界遺産の宝庫として知られ、その数は実際には42カ所に及びます。古代の遺跡から壮麗な建造物、豊かな自然まで、インドの世界遺産はその多様性で訪れる人々を魅了し続けています。タージ・マハルやアーグラ城塞といった誰もが知る名所から、アジャンター石窟群やエローラ石窟群などの古代の芸術、さらにはケオラデオ国立公園のような自然の宝庫まで、インドの世界遺産は国の豊かな歴史と文化を映し出す鏡となっています。本記事では、これらの中から特に見逃せない世界遺産を厳選し、その魅力と歴史的重要性をご紹介します。

2024年07月31日更新


インドの世界遺産は全部で42カ所登録されている!

インドは世界遺産の宝庫として知られ、2024年現在、合計42件の世界遺産が登録されています。これらは文化遺産34件、自然遺産7件、複合遺産1件から構成されており、インドは世界遺産保有国ランキングで第6位に位置しています。登録された遺産には、誰もが知るタージ・マハルやアジャンター石窟群のような有名な観光地から、カジュラーホーの建造物群やハンピの建造物群など、より知られざる歴史的遺跡まで多岐にわたります。これらの世界遺産は、インドの豊かな歴史、文化、自然の多様性を反映しており、古代から現代に至るまでの様々な時代や文明の足跡を今に伝えています。

インドの世界遺産一覧表

世界遺産登録名 登録年 種別
アジャンター石窟群 1983年 文化遺産
エローラ石窟群 1983年 文化遺産
アーグラ城塞 1983年 文化遺産
タージ・マハル 1983年 文化遺産
コナーラクの太陽神寺院 1984年 文化遺産
マハーバリプラムの建造物群 1984年 文化遺産
カジランガ国立公園 1985年 自然遺産
マナス野生生物保護区 1985年 自然遺産
ケオラデオ国立公園 1985年 自然遺産
ゴアの教会群と修道院群 1986年 文化遺産
カジュラーホの建造物群 1986年 文化遺産
ハンピの建造物群 1986年 文化遺産
ファテープル・シークリー 1986年 文化遺産
大チョーラ朝寺院群 1987年、2004年 文化遺産
パッタダカルの建造物群 1987年 文化遺産
エレファンタ石窟群 1987年 文化遺産
スンダルバンス国立公園 1987年 自然遺産
ナンダ・デヴィ国立公園及び花の谷国立公園 1988年、2005年 自然遺産
サーンチーの仏教建造物群 1989年 文化遺産
デリーのフマユーン廟 1993年 文化遺産
デリーのクトゥブ・ミナールとその建造物群 1993年 文化遺産
インドの山岳鉄道群 1999年、2005年、2008年 文化遺産
ブッダガヤの大菩提寺 2002年 文化遺産
ビンベットカのロック・シェルター群 2003年 文化遺産
チャトラパティ・シヴァージー・ターミナス駅 2004年 文化遺産
チャンパネール-パーヴァガドゥ遺跡公園 2004年 文化遺産
レッド・フォートの建造物群 2007年 文化遺産
ジャイプールにあるジャンタール・マンタール 2010年 文化遺産
西ガーツ山脈 2012年 自然遺産
ラージャスターンの丘陵要塞群 2013年 文化遺産
大ヒマラヤ国立公園 2014年 自然遺産
ラニ・キ・ヴァヴ(パタンの女王の階段井戸) 2014年 文化遺産
ナーランダー・マハーヴィハーラ考古遺跡 2016年 文化遺産
カンチェンジュンガ国立公園 2016年 複合遺産
アフマダーバードの歴史都市 2017年 文化遺産
ムンバイのヴィクトリア・ゴシック様式とアール・デコ様式の建造物群 2018年 文化遺産
ジャイプールの城壁都市 2019年 文化遺産
カーコリア・タール(カッチ湿地) 2021年 自然遺産
ダンブッラ寺院群 2021年 文化遺産
テレガナ州のルドレシュワラ寺院(ラマッパ寺院) 2021年 文化遺産
マラーター軍事建築のマハーラーシュトラ 2023年 文化遺産
サンティニケタン 2023年 文化遺産

インドでおすすめの世界遺産13選

壮麗な白亜の霊廟「タージ・マハル」

タージ・マハルは、ムガル帝国第5代皇帝シャー・ジャハーンが愛妃ムムターズ・マハルのために建てた白亜の霊廟で、インドを代表する世界遺産です。1653年に完成したこの建造物は、「天の楽園をも凌ぐ美しさ」と称えられ、22年の歳月と膨大な費用をかけて建設されました。世界各地から招かれた一流職人によって造られ、白い大理石の柔らかな曲線を描くドームやペルシア風の庭園など、その美しさは見る者を魅了します。タージ・マハルは完璧な左右対称のシンメトリーを誇りますが、唯一の非対称は大霊廟内部に安置された皇帝と王妃の棺であり、これは皇帝の死後に王妃の傍に埋葬された結果です。1983年に世界遺産に登録されたタージ・マハルは、インド・イスラム建築の最高峰として今もなお多くの人々を魅了し続けています。

神秘的な石窟の芸術「エローラの石窟群」

エローラ石窟群は、インド発祥の3つの宗教 – 仏教、ヒンドゥー教、ジャイナ教 – の寺院が一箇所に集まる世界的にも稀有な遺跡です。ムンバイから北東に約380km離れたデカン高原に位置し、5世紀から10世紀にかけて造られた34の石窟が南北約2kmにわたって連なっています。特筆すべきは第16窟のカイラーサナータ寺院で、高さ約32m、幅約45m、奥行き約85mという巨大な規模を誇り、1世紀以上かけて一枚岩から彫り出された芸術作品です。エローラ石窟群は、その規模と芸術性、そして3つの宗教が共存する稀有な特徴から、インドの宗教的寛容さと文化の深さを物語る重要な世界遺産となっています。

仏教の聖地「ブッダガヤの大菩提寺」

ブッダガヤの大菩提寺は、仏教の四大聖地の一つであり、釈迦が悟りを開いた場所として知られています。寺院の中心には高さ52メートルの大塔があり、その西側には釈迦が悟りを得たとされる金剛座と、その上に枝を広げる菩提樹があります。現在の寺院は5〜6世紀に再建されたものがベースとなっており、2002年にユネスコ世界遺産に登録されました。大菩提寺の境内には、悟りの菩提樹の直系の子孫とされる木や、ムチリンダ龍王の池など、釈迦にまつわる聖地が点在しています。この寺院は、インド初期の芸術的な建築作品として評価され、仏教の信仰の発展を示す重要な遺跡となっています。

歴史的な霊廟「デリーのフマユーン廟」

デリーのフマユーン廟は、ムガル帝国第2代皇帝フマユーンの墓廟として1565年に建設が始まり、1572年に完成しました。ペルシア様式の影響を強く受けた建築で、インドにおけるイスラーム建築の精華とされ、後のタージ・マハルにも影響を与えたとされています。広大な敷地には、チャハルバーグと呼ばれるペルシア式の四分庭園が広がり、中央に赤い砂岩と白い大理石を使用した二層構造の霊廟が建っています。1993年にユネスコ世界遺産に登録され、インドの建築史上重要な位置を占めるとともに、ムガル帝国の文化的影響力を示す貴重な遺産となっています。

歴史の重みを感じる「アーグラ城塞」

アーグラ城塞は、ムガル帝国の栄華を今に伝える壮大な要塞です。1565年に第3代皇帝アクバルによって建設が始まり、赤砂岩を用いた城壁から「赤い城」とも呼ばれています。城内には、ジャハーンギール殿やムサンマン・ブルジなど、歴代皇帝による美しい宮殿や建造物が点在しています。特に第5代皇帝シャー・ジャハーンの時代に多くの白大理石の建築物が追加され、イスラム建築の粋を集めた芸術性の高い空間となりました。1983年にユネスコ世界遺産に登録され、ムガル帝国の建築技術と文化の唯一無二の証拠として評価されています。

丘陵の中の壮大な要塞群「ラージャスターン州の丘陵城塞群」

ラージャスターン州の丘陵城塞群は、インド北西部に位置する6つの壮大な要塞から成る世界遺産です。8世紀から18世紀にかけてラージプート族によって築かれたこれらの城塞は、2013年にユネスコ世界遺産に登録されました。チットールガル城、クンバルガル城、ランタンボール城、ガグロン城、アンベール城、ジャイサルメール城の6つで構成され、それぞれが独自の特徴を持っています。これらの城塞群は、厳しい砂漠環境の中で発展したラージプート族の建築技術と文化を今に伝える貴重な遺産であり、インド、ペルシア、トルコなど様々な文化の影響を受けた独自の様式を示しています。

古代の都市遺跡「ハンピの建造物群」

ハンピの建造物群は、14世紀から17世紀中頃に栄えたヴィジャヤナガル王国の首都遺跡として、1986年にユネスコ世界遺産に登録されました。トゥンガバドラー川沿いに位置するこの遺跡群には、ヴィルパークシャ寺院やヴィッタラ寺院など、40以上の建造物が残されています。特にヴィッタラ寺院は16世紀にクリシュナ・デーヴァ・ラーヤ王によって建立され、56本の石柱を持つ礼拝堂や精巧な彫刻が施された石造りの戦車など、ヴィジャヤナガル様式の最高傑作とされています。ハンピの建造物群は、ヒンドゥー建築の特徴を示すと同時に、イスラム建築の影響も見られる多様性豊かな遺跡であり、南インドの歴史と文化を今に伝える貴重な遺産となっています。

古代の仏教遺跡「アジャンターの石窟寺院群」

アジャンターの石窟寺院群は、インドのマハーラーシュトラ州北部に位置する古代仏教の傑作です。ワゴーラー川の湾曲部を囲む断崖に550mにわたって築かれた30の石窟から成り、紀元前1世紀から紀元後7世紀にかけて造営されました。石窟は修行の場であるヴィハーラ窟と礼拝堂であるチャイティヤ窟の2種類があり、後期の窟には精緻なレリーフや色鮮やかな壁画が施されています。1819年にイギリス人士官によって偶然発見されるまで忘れ去られていたため、壁画や彫刻が良好な状態で保存されており、1983年にユネスコ世界遺産に登録されました。アジャンターの石窟寺院群は、インド仏教美術の至宝として、後に中国や日本の仏教芸術にも影響を与えた重要な遺跡です。

仏教の精神性を刻んだ「サーンチーの仏教建造物群」

サーンチーの仏教建造物群は、インド中部マディヤ・プラデーシュ州に位置し、紀元前3世紀から紀元後12世紀にかけて建造された仏教遺跡群です。最も有名な建造物は、アショカ王によって紀元前3世紀に建立された大仏塔(第1塔)で、その周囲には精緻な彫刻が施された4つの塔門があります。これらの塔門には、仏教説話や釈迦の生涯に関する物語が生き生きと彫られており、当時の仏教芸術の最高峰を示しています。サーンチーには他にも、インド最古の独立した寺院である寺院No.40や、アショカ王の石柱跡など、様々な時代の仏教建造物が残されています。1989年にユネスコ世界遺産に登録されたサーンチーの仏教建造物群は、インド仏教の発展と芸術の変遷を今に伝える貴重な遺産となっています。

自然の楽園「ケオラデオ国立公園」

ケオラデオ国立公園は、インド北部ラージャスターン州に位置する自然の楽園で、1985年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。この公園は、特に渡り鳥の重要な中継地として知られており、毎年冬になると350種以上の鳥類が飛来します。中でも絶滅危惧種のシベリアクロヅルの重要な越冬地となっています。公園内には、湿地、草原、森林など多様な生態系が存在し、鳥類以外にも35種の哺乳類や27種の爬虫類が生息しています。かつては狩猟地として使用されていましたが、現在は野生生物の保護区として機能し、生物多様性の保全に重要な役割を果たしています。

野生生物の宝庫「マナス野生生物保護区」

マナス野生生物保護区は、インド北東部のアッサム州に位置し、ブータンとの国境に接する貴重な自然遺産です。1985年にユネスコ世界自然遺産に登録され、生物多様性の宝庫として知られています。当初はベンガルトラの保護を目的として1973年に設立されましたが、現在では多くの絶滅危惧種の生息地となっています。保護区内にはトラやゾウをはじめ、体毛の美しい猿の一種であるゴールデンラングールなど、多様な野生動物が生息しています。マナス川の流域に広がるこの保護区は、ユネスコの生物圏保護区にも指定されており、インドの豊かな自然環境と生態系を保全する上で重要な役割を果たしています。

古代の岩陰遺跡「ビンベットカの岩陰遺跡群」

ビンベットカの岩陰遺跡群は、インド中部マディヤ・プラデーシュ州のデカン高原北部に位置し、2003年にユネスコ世界遺産に登録された先史時代の遺跡です。この遺跡群は、旧石器時代から中世にかけての人類の居住の痕跡を示す貴重な証拠となっています。約750の岩陰遺跡が確認されており、そのうち243か所に壁画が残されています。これらの壁画は、狩猟や日常生活、動物、踊りなど、古代の人々の生活や文化を生き生きと描いており、インドの先史時代の芸術と生活様式を理解する上で重要な資料となっています。ビンベットカの岩陰遺跡群は、人類の文化的進化を示す稀有な遺跡として、考古学的にも芸術的にも高い価値を持つ世界遺産です。

歴史と自然の調和「チャンパネール=パーヴァガドゥ遺産公園」

チャンパネール=パーヴァガドゥ遺産公園は、インド西部のグジャラート州に位置し、2004年にユネスコ世界遺産に登録されました。この遺産公園は、先史時代から15世紀にかけての建造物と、豊かな自然環境が調和した独特の景観を有しています。パーヴァガドゥの丘陵には11世紀のヒンドゥー要塞の遺構が残り、麓のチャンパネールには15世紀のイスラム都市遺跡が広がっています。特に注目すべきは、ジャミー・マスジッドをはじめとするイスラム建築群で、ヒンドゥー様式とイスラム様式が融合した独特の建築様式を示しています。この遺産公園は、インドの歴史的な文化の重層性と、自然環境との共生を示す貴重な例として評価されています。

インドで世界遺産を観光する際の注意点

インドの世界遺産を観光する際は、いくつかの重要な注意点があります。まず、多くの遺跡では入場料が必要で、外国人観光客は現地の人よりも高額な料金を支払う必要があります。また、インドは比較的安全な国ですが、観光地では客引きや詐欺に注意が必要です。不要な案内や勧誘には、はっきりと「NO」と断ることが重要です。衛生面では、ホテルはスーペリアクラス以上を選ぶことで、設備の不備や衛生上の問題を避けられます。さらに、インドの世界遺産は国内各地に点在しているため、効率的に観光するにはツアーの利用が推奨されます。最後に、一部の遺跡では写真撮影に制限がある場合があるので、事前に確認することが大切です。これらの点に注意を払うことで、インドの豊かな世界遺産をより安全かつ快適に楽しむことができます。

インドへ世界遺産を見に行こう!

インドの世界遺産は、その数の多さと多様性で際立っています。40カ所に及ぶ世界遺産は、インドの豊かな歴史、文化、自然を反映しています。タージ・マハルやアーグラ城塞などの壮大な建造物から、アジャンター石窟群やエローラ石窟群といった古代の芸術、さらにはカジランガ国立公園のような貴重な自然まで、インドの世界遺産は訪れる人々に深い感動を与えます。これらの遺産を訪れることで、インドの多面的な魅力を体験し、その奥深さを理解することができるでしょう。インド旅行の際は、ぜひこれらの世界遺産を訪れ、この国の豊かな遺産を肌で感じてください。

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