ヨーロッパの原風景や中世の面影が色濃く残る国「ルーマニア」。ルーマニアには、"バルカンの小パリ"と呼ばれた首都ブカレスト、ドラキュラ城として有名なブラン城への拠…
ルーマニアの代表的な料理15選!定番料理・伝統料理からスイーツまで
ルーマニアの料理は、豊かな歴史と多様な文化が融合した魅力的な食の宝庫です。本記事では、ルーマニアの代表的な料理15選をご紹介します。伝統的な肉料理からヘルシーなスープ、さらには甘美なスイーツまで、地元の風味を堪能できる料理が揃っています。各料理の特色や歴史的背景も合わせて解説し、ルーマニアの食文化を深く理解できる内容になっています。食を通じてルーマニアの魅力を感じ、ぜひ次の旅行や食事の参考にしてください。
2024年08月15日更新
ルーマニアの食文化
ルーマニアの食文化は、豊かな自然環境と歴史的影響を反映した多様性に富んでいます。古代ローマ帝国やオスマン帝国、ハンガリーなどの影響を受けつつ、独自の発展を遂げました。主食はパンとトウモロコシから作られるママリガで、小麦とトウモロコシの生産が盛んです。肉料理が中心で、特に豚肉料理が豊富です。昼食が一日の主な食事とされ、前菜、スープ、メイン料理、デザートと充実した内容になっています。また、乳製品、特に羊乳チーズが人気で、ワインやツイカという蒸留酒も食事に欠かせません。ルーマニア料理は素材の味を生かした素朴な料理が中心で、日本人の味覚にも合うとされています。ルーマニアのおすすめ料理15選
爽やかな酸味が魅力「ムラ・トゥーリ」
ムラ・トゥーリ(Murături)は、ルーマニアの伝統的な漬物料理で、様々な野菜を酢や塩水で漬け込んだものです。キャベツ、きゅうり、唐辛子、トマトなどが一般的に使用されます。この料理は、ルーマニアの食卓に欠かせない存在で、特に冬季に重宝されます。ムラ・トゥーリの爽やかな酸味は、肉料理の付け合わせとして相性が良く、また単独でも楽しまれます。ルーマニアでは、スープ類に必ず青唐辛子が1本添えられ、これを少しずつかじりながらスープを飲むのが現地の食べ方です。トランシルヴァニア地方出身のルーマニア人の中には、ムラ・トゥーリを「人生で今まで食った漬物の中で最もうまい」と評する人もいるほど、その美味しさは高く評価されています。香ばしい風味が食欲をそそる「スモークベーコン」
ルーマニアのスモークベーコンは、伝統的な保存食として数世紀にわたり親しまれてきた料理です。脂身が多いのが特徴で、きちんと燻製された白身は口の中でとろけるような味わいを楽しめます。ニンニク、胡椒、パプリカ、唐辛子などで味付けされたバリエーションも豊富です。地元では、このベーコンを薄くスライスしてパンに塗って食べる習慣があります。厳しい冬を乗り越えるために発展したこの伝統食は、ルーマニアの食文化の重要な一部となっており、その香ばしい風味と濃厚な味わいは、多くの人々を魅了し続けています。なめらかな口当たりの絶品前菜「サラタ・デ・ヴィネテ」
サラタ・デ・ヴィネテは、ルーマニアの代表的な前菜で、焼いたナスをペースト状にし、マヨネーズやオリーブオイルと混ぜ合わせて作られます。 この料理は、なめらかな口当たりと豊かな風味が特徴で、パンに塗って食べるのが一般的です。材料にはナス、オリーブオイル、マヨネーズの他に、ガーリックや塩、レモン汁などが加えられ、味わい深いディップに仕上げられます。 サラタ・デ・ヴィネテは、その簡単な調理法と美味しさから、ルーマニアの家庭料理として親しまれており、前菜としてだけでなく、軽食としても楽しまれています。酸味と旨味が絶妙な伝統スープ「チョルバ・デ・ブルタ」
チョルバ・デ・ブルタは、ルーマニアの伝統的なスープ料理で、牛の胃袋(ハチノス)を主材料とした独特の味わいが特徴です。チョルバとはルーマニア語でスープを意味し、レモンやサワークリームで酸味を効かせた具だくさんのスープが一般的です。このスープは、肉や野菜をたっぷり入れて煮込み、小麦を水に入れて発酵させた液体を加えることで独特の酸味を出します。チョルバ・デ・ブルタは、牛の内臓の旨味と酸味が絶妙なバランスで調和し、ルーマニアの家庭料理として親しまれています。また、スープにはディルなどのハーブも使われ、すっきりとした味わいが特徴で、どんな料理にも合う versatile な一品となっています。具だくさんで栄養満点「チョルバ・デ・ペリショアレ」
チョルバ・デ・ペリショアレは、ルーマニアの伝統的な具だくさんスープで、ミートボールと野菜を豊富に使用した栄養満点の料理です。ミートボールには合挽き肉、卵、玉ねぎ、パセリなどが使われ、スープには玉ねぎ、人参、セロリ、パプリカ、トマトなどの野菜が加えられます。このスープの特徴は、レモン汁やビネガーを加えることで生まれる爽やかな酸味で、サワークリームを添えて食べるのが一般的です。チョルバ・デ・ペリショアレは、それ自体がメインディッシュとなる充実した一品で、パンを添えるだけで完全な食事となります。鮮やかな赤色が食欲をそそる「チョルバ・デ・プイ」
チョルバ・デ・プイは、ルーマニアの伝統的な鶏肉のスープで、鮮やかな赤色が特徴的です。このスープは、鶏肉を主材料とし、野菜やスパイスを加えて煮込んだ栄養価の高い料理です。トマトやパプリカを使用することで、美しい赤色と豊かな風味が生まれます。チョルバ・デ・プイの特徴的な酸味は、レモン汁や酢を加えることで作り出され、サワークリームを添えて食べるのが一般的です。他のチョルバ同様、このスープも家庭料理として親しまれており、寒い冬の日には特に人気があります。ルーマニアの国民食「ママリーガ」
ママリーガは、ルーマニアの国民食として知られる伝統的な料理です。トウモロコシの粉を水で煮込んで作られ、イタリアのポレンタに似た食感と味わいを持ちます。ルーマニアはヨーロッパ有数の農業国で、トウモロコシの生産量はウクライナに次いでヨーロッパ第2位を誇っており、この豊富な農産物を活かした料理がママリーガです。通常、ママリーガは単独では食べず、炒めた肉やチーズ、クリームなどと一緒に楽しみます。また、パンの代わりとしても使用され、様々な料理の付け合わせとしても重宝されています。ママリーガは、ルーマニアの食文化において重要な位置を占め、家庭料理からレストランのメニューまで幅広く親しまれています。ジューシーな味わいが人気「サルマーレ」
サルマーレは、ルーマニアの代表的な料理で、ロールキャベツに似た肉料理です。キャベツの葉に挽き肉、米、玉ねぎなどを混ぜた具材を包み、トマトソースで煮込んで作ります。伝統的には酢漬けしたキャベツを使用しますが、茹でたキャベツでも美味しく作れます。サルマーレは、復活祭やクリスマス、結婚式のパーティーなど、お祝い事には欠かせない料理として親しまれています。その味付けは地方や家庭によって様々なバリエーションがあり、パーティーや特別な席では作り置きして食べられることもあります。サルマーレは、トルコ料理の影響を受けており、ルーマニアの食文化の多様性を示す一例となっています。屋台の定番グルメ「シャオルマ」
シャオルマ(Shaorma)は、ルーマニアの屋台や小さな食堂で人気の高い定番ファストフードです。中東のケバブに似たこの料理は、縦に回転する串焼き機で調理された肉(主に鶏肉、豚肉、または羊肉)を薄くスライスし、ピタパンやラヴァッシュと呼ばれる薄いパンで包んで提供されます。シャオルマには通常、新鮮な野菜(トマト、キュウリ、玉ねぎなど)、フライドポテト、そしてガーリックソースやチリソースなどの調味料が添えられます。この料理は、オスマン帝国の影響を受けたルーマニア料理の一例であり、現代のルーマニアの都市部での食文化を象徴する存在となっています。手軽さと満足感から、特に若者や夜遅くまで働く人々に愛されており、ルーマニアの現代的な食文化の一端を担っています。
香辛料が効いた絶品ミートボール「ミティティ」
ミティティ(Mititei)は、ルーマニアの代表的な肉料理で、香辛料をたっぷり使った円筒形のミートボールです。牛肉や羊肉、豚肉などのひき肉を使用し、ニンニク、黒コショウ、タイム、コリアンダー、アニス、セイボリーなどの香辛料を加えて作られます。ルーマニア語で「小さいもの」という意味を持つミティティは、屋台やレストランで人気の料理で、通常はグリルで焼いて提供されます。その独特の風味と香りは、ルーマニアの食文化を象徴する一品として、国内外の人々に親しまれています。彩り豊かな野菜料理「アルデイ・ウンプルツィ」
アルデイ・ウンプルツィ(Ardei Umpluti)は、ルーマニアの伝統的な野菜料理で、パプリカの肉詰めを煮込んだものです。この料理は、鮮やかな色彩と豊かな風味が特徴で、ルーマニアの家庭料理として広く親しまれています。パプリカの中に牛豚合いびき肉、米、玉ねぎ、ハーブなどを詰め、トマトソースで煮込んで作ります。アルデイ・ウンプルツィは、その見た目の美しさと栄養バランスの良さから、パーティーや特別な機会の料理としても人気があります。ルーマニアのブラン村では、この料理が「ドラキュラの心臓」と呼ばれることもあり、観光客の興味を引く一品となっています。ルーマニア風ポークステーキ「トキトゥーラ」
トキトゥーラ(Tocătura)は、ルーマニアの伝統的な肉料理で、主に豚肉を使用したステーキ風の料理です。この料理は、豚肉を小さく切って玉ねぎと一緒に炒め、ニンニク、パプリカ、黒コショウなどの香辛料で味付けします。トキトゥーラは、その素朴な味わいと豊かな風味が特徴で、ルーマニアの家庭料理として広く親しまれています。通常、ママリーガ(トウモロコシのポレンタ)やパンと一緒に提供され、サワークリームを添えて食べるのが一般的です。この料理は、ルーマニアの食文化における豚肉料理の豊富さを示す一例であり、その素材の味を生かした調理法は、日本人の味覚にも合うとされています。心も体も温まる煮込み料理「グヤーシュ」
グヤーシュは、ルーマニアで親しまれている心温まる煮込み料理です。元々はハンガリー発祥の料理ですが、ルーマニアでも広く食べられています。牛肉や豚肉を主材料とし、トマトソースやパプリカパウダーで味付けしてじっくり煮込んで作ります。玉ねぎ、にんじん、ジャガイモなどの野菜も加えられ、栄養バランスの良い一品となっています。グヤーシュの特徴は、パプリカの風味と肉の旨味が溶け込んだ濃厚なソースで、寒い季節に特に人気があります。ルーマニアでは、このグヤーシュをパンやママリーガと一緒に楽しむことが多く、家庭料理からレストランのメニューまで幅広く提供されています。ふわふわ食感のスイーツ「パパナシ」
パパナシ(Papanași)は、ルーマニアの伝統的な揚げ菓子で、ふわふわとした食感が特徴的なドーナツケーキです。この甘いデザートは、ウルダ(羊乳チーズ)を生地に使用し、サクランボのジャムとサワークリームをトッピングして提供されます。パパナシの生地は、ホットケーキミックス、クリームチーズ、卵、レモンの皮などを混ぜ合わせて作られ、揚げることで外はカリッと、中はしっとりとした食感に仕上がります。甘みのある生地にヨーグルトとフルーツジャムの酸味が調和し、どこか懐かしさを感じさせる味わいが楽しめます。日本では、愛知県名古屋市の「Paradis(パラディ)」や東京都中野区の「トラディショナルレストラン」などで、このルーマニアの伝統的なスイーツを味わうことができます。祝祭に欠かせない伝統菓子「コゾナック」
コゾナック(Cozonac)は、ルーマニアの伝統的な菓子パンで、特に復活祭やクリスマスなどの祝祭時に欠かせない存在です。この甘いパンは、豊かな風味と柔らかい食感が特徴で、通常はクルミ、ポピーシード、ドライフルーツなどの具材が入っています。コゾナックの生地は、小麦粉、卵、砂糖、牛乳、バター、イーストを使って作られ、発酵させた後に具材を巻き込んで焼き上げます。その結果、外はこんがりと焼け、中はしっとりとした食感になります。ルーマニアの家庭では、祝祭の前にコゾナックを作る伝統があり、その香りが家中に広がることで、特別な日の到来を感じさせます。
この伝統菓子は、ルーマニアの食文化において重要な位置を占めており、家族や友人と共に楽しむ団欒の象徴ともなっています。コゾナックは、ルーマニアの甘い物文化の豊かさを示す一例であり、その美味しさと文化的意義から、国内外で広く愛されています。