美しい運河がある街並みと可愛らしい風車が特徴的な国「オランダ」。絵本のような風景が広がるキンデルダイクの風車群、心和むアムステルダムの運河の風景、フェルメールや…
オランダの世界遺産は12カ所！絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介
オランダには12カ所の世界遺産があり、その多くが国の歴史や文化を象徴する貴重な遺産です。風車や運河など、オランダらしい景観を楽しめる世界遺産が多いのが特徴です。アムステルダムの17世紀の運河地区やキンデルダイク-エルスハウトの風車群など、絵葉書のような美しい光景が広がります。また、ワッデン海のような自然遺産もあり、オランダの多様な魅力を感じられます。本記事では、これらの中から特に見どころの多い世界遺産を厳選してご紹介します。オランダ旅行の際は、ぜひこれらの世界遺産を訪れて、その歴史と美しさを体感してください。
2024年09月05日更新
オランダの世界遺産は全部で12カ所登録されている！
オランダには現在、12の世界遺産が登録されています。これらは1つの自然遺産と11の文化遺産から構成されています。自然遺産としては「ワッデン海」があり、文化遺産には「キンデルダイク-エルスハウトの風車群」や「アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区」などが含まれます。これらの遺産は、オランダの水管理技術、都市計画、建築の卓越性を示すとともに、国の歴史と文化的アイデンティティを反映しています。最新の登録は2023年のフラーネカーのエイシンハ・プラネタリウムで、オランダの科学的遺産も世界的に認められています。オランダの世界遺産一覧表
| 世界遺産登録名 | 登録年 | 種別 |
|---|---|---|
| スホクラントと周辺地区 | 1995年 | 文化遺産 |
| アムステルダムの17世紀の運河地区 | 2010年 | 文化遺産 |
| キンデルダイク‐エルスハウトの風車群 | 1997年 | 文化遺産 |
| リートフェルトのシュレーダー邸 | 2000年 | 文化遺産 |
| ヴァウダヘマー | 1999年 | 文化遺産 |
| ビークリンダイク‐ダム複合施設 | 1995年 | 文化遺産 |
| クラーラの国立公園 | 2021年 | 自然遺産 |
| ベームステル干拓地 | 1999年 | 文化遺産 |
| オランダのウォウデン海 | 2009年 | 自然遺産 |
| クールハウスの要塞ライン | 2021年 | 文化遺産 |
| デ・ベームステル | 1999年 | 文化遺産 |
| ライン‐マース‐シャルデ川の要塞ライン | 2021年 | 文化遺産 |
オランダでおすすめの世界遺産9選
風車が織りなす絶景「キンデルダイク＝エルスハウトの風車群」
キンデルダイク＝エルスハウトの風車群は、オランダ南部ロッテルダム近郊に位置する壮大な景観を誇る世界遺産です。1997年にユネスコ世界文化遺産に登録されたこの地域には、18世紀に建設された19基の風車が今も残っています。これらの風車は、単なる観光名所ではなく、オランダの水管理の歴史を物語る重要な遺産です。各風車は巨大で、羽根1枚が14メートルもあり、毎分1万リットルもの水を排水できる能力を持っています。風車群は、オランダの国土の4分の1が海面下にある地理的特性に対応するため、排水システムとして機能し、国を世界有数の酪農・園芸国へと押し上げた重要な役割を果たしました。現在も一部の風車は実際に稼働しており、訪問者は風車の内部を見学したり、遊覧ボートに乗って水上から眺めたりすることができ、オランダの歴史と技術の結晶を体験できる貴重な場所となっています。水の都の美しき環「アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区」
アムステルダムのシンゲル運河内の17世紀の環状運河地区は、16世紀末から17世紀初頭にかけて計画的に建設された、都市開発の優れた例です。この地区は、シンゲル運河を外縁とし、ヘーレン運河、ケイザー運河、プリンセン運河の3本の主要な同心円状の運河から構成されています。これらの運河は、排水システムとして機能するだけでなく、都市の拡張と商業の発展を促進しました。運河沿いには1550以上の歴史的建造物が立ち並び、切妻屋根の家々が美しい統一された町並みを形成しています。この環状運河地区は、オランダの黄金時代における都市計画と建築の卓越性を示す重要な遺産として、2010年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。カリブの宝石「港町ヴィレムスタット歴史地域、キュラソー島」
キュラソー島の港町ウィレムスタット市内の歴史地区は、カリブ海南部に位置するオランダ王国の構成国キュラソーにある世界遺産です。1634年にオランダ西インド会社によって建設されたこの都市は、オランダの植民地建築とカリブの文化が融合した独特の景観を持っています。歴史的な5つの街区（プンダ、オットロバンダ、ピーターマーイ、スカロー、コーテイン）と、それらを結ぶクィーン・エマ橋が登録対象となっています。特徴的なのは、アムステルダムの建築様式を基にしながらも、カリブ海特有のカラフルな外観を持つ建物群で、これらは17世紀から19世紀にかけて建設されました。この歴史地区は、オランダの植民地時代の都市計画と建築の卓越性を示すとともに、多文化が融合した独自の文化的アイデンティティを反映しています。干拓の歴史を物語る「スホクラントとその周辺」
スホクラントとその周辺は、オランダの干拓の歴史を象徴する世界遺産です。かつてゾイデル海に浮かぶ島だったスホクラントは、19世紀に高潮の危険により放棄されましたが、1942年の北東ポルダー干拓工事によって陸続きとなりました。現在は、低い干拓地の中に若干盛り上がった場所があり、かつての島の痕跡を見ることができます。この地域には新石器時代から鉄器時代までの遺跡が点在し、人類が不安定な湿地環境に適応してきた歴史を示しています。また、スホクラント美術館では、この土地の歴史や文化を深く知ることができ、周辺の広大な草原ではウォーキングやサイクリングを楽しむことができます。巧みな防衛システム「アムステルダムのディフェンス・ライン」
アムステルダムのディフェンス・ラインは、オランダの首都を守るために1883年から1920年にかけて建設された独特の防衛システムです。市街を取り囲む半径15～20kmの環状の堤防（総延長約135km）に沿って42の要塞が配置されており、有事には水門を開いて外側の低地を冠水させる仕組みになっていました。水深は0.5～1mに設定され、人が歩くには深すぎ、船が進むには浅すぎるよう計算されていました。しかし、完成時には航空機や戦車が実戦投入され始めたため、実際に使用されることはありませんでした。1996年に世界文化遺産に登録され、現在は多くの要塞が観光地や自然レクリエーション施設として活用されています。潮の干満が生み出す生命の宝庫「ワッデン海」
ワッデン海は、オランダ、ドイツ、デンマークの3カ国にまたがる世界最大規模の干潟で、2009年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。全長約500km、総面積約11,000km²に及ぶこの広大な湿地帯は、6時間ごとに潮の満ち引きを繰り返す独特の生態系を有しています。この環境は、3,200種以上の生物の生息地となっており、特にゼニガタアザラシや1,000万羽を超える渡り鳥にとって重要な生息地となっています。ワッデン海の豊かな生態系は、1997年に採択された「三国間ワッデン海計画」によって保護されていますが、近年は環境汚染や乱獲による生態系の崩壊が懸念されており、継続的な保護活動が必要とされています。幾何学的美しさの干拓地「ドゥローフマーケライ・デ・ベームステル」
ドゥローフマーケライ・デ・ベームステル（ベームステル干拓地）は、17世紀初頭にオランダで最初に造成された大規模な干拓地で、1999年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。約72平方キロメートルの内海を、1607年から1612年にかけて15基の風車ネットワークを用いて排水し、海面下3〜4メートルの低地を生み出しました。この干拓地は、ルネサンスの幾何学的理想に基づいて設計され、900×900メートルの正方形ユニットを基本とした整然とした格子状の道路、水路、農地のレイアウトが特徴です。当初は農地として利用されましたが、現在では温室を使った園芸農業も営まれており、オランダの水管理技術と都市計画の卓越性を示す重要な文化的景観となっています。モダニズム建築の傑作「リートフェルト設計のシュレーテル邸」
リートフェルト設計のシュレーテル邸は、1924年にオランダのユトレヒトで建設された20世紀モダニズム建築の傑作です。オランダ人建築家ヘリット・リートフェルトによって設計されたこの邸宅は、デ・ステイル運動の理念を具現化し、幾何学的な形態と原色の使用が特徴的です。立方体に近い外観は、白・灰の面と黒・赤・黄・青の線によって構成され、モンドリアンの抽象画を建築化したかのような印象を与えます。内部では可動式の間仕切りを採用し、柔軟な空間利用を可能にしています。2000年にユネスコ世界文化遺産に登録され、現代建築運動の重要な証として認められています。産業遺産の誇り「ファンネレ工場」
ファンネレ工場は、オランダの産業遺産を代表する建築物として2014年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。1927年から1930年にかけてロッテルダムに建設されたこの工場は、コーヒー、紅茶、タバコの製造を行っていました。ガラスと鉄骨を多用した近代主義建築の傑作とされ、光に満ちた開放的な空間が特徴です。オランダの機能主義建築の最高峰とも評される本工場は、1995年まで操業を続け、全盛期には2000人以上を雇用する大規模な施設でした。現在は、メディアやデザイン関連の企業が入居するオフィス空間として再利用され、産業遺産の保存と活用の成功例となっています。オランダで世界遺産を観光する際の注意点
オランダの世界遺産を観光する際は、以下の点に注意が必要です。キンデルダイクなどの人気スポットでは、混雑時期を避け、事前予約をすることをお勧めします。服装については、特に風車内部や博物館では急な階段があるため、歩きやすい靴を選びましょう。また、アムステルダムの運河地区やスキポール空港など観光客が多い場所では、スリや置き引きに注意が必要です。公共交通機関利用時も警戒を怠らないようにしましょう。チューリップ畑での撮影は、花畑に入らず外からのみ行うなど、マナーを守ることも重要です。天候の変化が激しいため、雨具の携帯も忘れずに。これらの注意点を守ることで、オランダの豊かな文化遺産をより安全に楽しむことができます。オランダへ世界遺産を見に行こう！
オランダには、歴史や文化、自然が融合した12カ所の世界遺産があります。中でもキンデルダイクの風車群やアムステルダムの運河地区は、訪れる価値のある代表的な観光スポットです。これらの遺産を訪れることで、オランダの水管理技術や建築、自然の美しさに触れることができます。今回紹介した世界遺産は、オランダを訪れる際にぜひ足を運んでほしい名所ばかりです。オランダの魅力を存分に感じる旅を楽しんでください。関連記事
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