イランの世界遺産は27カ所!絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介

イランは、古代文明の揺籃地として知られ、その豊かな歴史と文化を反映する27の世界遺産を有しています。これらの遺産は、壮大な古代遺跡から美しいイスラム建築、そして独特の自然景観まで、実に多岐にわたります。ペルセポリスの荘厳な遺跡や、「世界の半分」と呼ばれるエスファハーンのイマーム広場など、世界的に有名な遺産も数多く含まれています。本記事では、イランの世界遺産の中でも特に見逃せない、魅力的で歴史的価値の高いスポットを厳選してご紹介します。イランの深遠な文化と歴史を体感できる、これらの世界遺産をぜひ訪れてみてください.

2024年09月05日更新


イランの世界遺産は全部で27カ所登録されている!

イランには、2024年現在、27カ所のユネスコ世界遺産が登録されています。これらの遺産は、文化遺産が26件、自然遺産が1件となっています。イランの世界遺産には、古代ペルシャ帝国の首都であったペルセポリスや、「世界の半分」と呼ばれるエスファハーンのイマーム広場など、歴史的に重要な遺跡が多く含まれています。また、2019年に登録されたヒルカニアの森林群は、イランで唯一の自然遺産であり、豊かな生物多様性を誇っています。これらの世界遺産は、イランの豊かな文化遺産と自然の魅力を世界に示す重要な存在となっています。

イランの世界遺産一覧表

世界遺産登録名 登録年 種別
チョガー・ザンビール 1979年 文化遺産
ペルセポリス 1979年 文化遺産
エスファハーンのイマーム広場 1979年 文化遺産
タフテ・スレイマーン 2003年 文化遺産
バムとその文化的景観 2004年 文化遺産
パサルガダエ 2004年 文化遺産
ソルタニエ 2005年 文化遺産
ビーストゥーン 2006年 文化遺産
アルダビールのシャイフ・サフィーウッディーン廟 2010年 文化遺産
タブリーズの歴史的バザール群 2010年 文化遺産
ペルシャ庭園 2011年 文化遺産
ゴレスタン宮殿 2013年 文化遺産
シュシュタルの歴史的水利システム 2009年 文化遺産
イランのカスピ海・ヒルカニア森林 2019年 自然遺産
ゴンバデ・カーブース 2012年 文化遺産
ゴンバデ・ソルターニーイェ 2005年 文化遺産
メイマンドの文化的景観 2015年 文化遺産
シャフレ・ソフテ 2014年 文化遺産
ペルシャのカナート 2016年 文化遺産
ヤズドの歴史都市 2017年 文化遺産
アルメニア教会建築群 2008年 文化遺産
ルート砂漠 2016年 自然遺産
ホラマバードのファラク・オル・アフラク城 2009年 文化遺産
イランのヘクスヴァン・ペルシャ建築群 2021年 文化遺産
ファールスのサーサーン朝考古遺跡群 2018年 文化遺産

イランでおすすめの世界遺産9選

古代ペルシャの栄華を今に伝える「ペルセポリス」

ペルセポリスは、イラン南部ファールス州に位置する壮大な古代都市遺跡で、アケメネス朝ペルシア帝国の栄華を今に伝える重要な世界遺産です。紀元前518年にダレイオス1世によって建設が始まり、約60年かけて完成しました。東西約300m、南北約450mの大基壇上に築かれた宮殿群には、「鏡の間」と呼ばれるタチャラ宮殿や、高さ20mもの列柱、精緻な彫像やレリーフなど、当時の卓越した建築・装飾技術を示す遺構が残されています。ペルセポリスは主に公式な儀式や新年祭を執り行う場として使用され、諸外国からの貢物を受け取る宝物庫も存在しました。紀元前331年にアレクサンドロス大王によって破壊されるまで、ペルセポリスはペルシア帝国の威光を象徴する中心地として機能し続けました。

美と機能が融合した楽園「ペルシャ式庭園」

ペルシャ式庭園は、紀元前6世紀のアケメネス朝ペルシアのキュロス2世の時代に起源を持つ、古代からの庭園様式です。2011年にユネスコ世界遺産に登録された「ペルシャ式庭園」は、イラン国内の9つの庭園で構成されています。これらの庭園は、乾燥地帯の厳しい環境下で発展した独自の設計哲学を体現しており、水路を利用して庭を4分割する「チャハルバーグ(四分庭園)」という特徴的な様式を持ちます。この様式は、エデンの園やゾロアスター教の四元素(天・地・水・植物)を象徴しており、美的要素と実用性を巧みに融合させています。ペルシャ式庭園の影響は広範囲に及び、スペインのアルハンブラ宮殿やインドのタージ・マハルなど、西はアンダルシアから東はインドにまで及ぶ庭園デザインに影響を与えました。

砂漠に咲いた要塞都市「バムとその文化的景観」

イラン南東部のケルマーン州に位置するバムは、7世紀から11世紀にかけて絹と綿の交易で栄えたオアシス都市です。その中心にあるアルゲ・バム(バム城塞)は、日干しレンガ(アドベ)で造られた世界最大の要塞建築群として知られています。2003年の大地震で壊滅的な被害を受けたバムは、2004年に「バムとその文化的景観」として世界遺産に登録されると同時に危機遺産リストにも加えられました。しかし、イラン政府主導の再建計画と修復活動が評価され、2013年に危機遺産リストから除外されています。バムの文化的景観は、カナートと呼ばれる地下水路システムを巧みに利用した人間と自然の相互作用を示す顕著な例として、その普遍的価値が認められています。

イスラム建築の至宝「エスファハーンのイマーム広場」

エスファハーンのイマーム広場は、イランを代表する世界遺産であり、イスラム建築の至宝として知られています。16世紀末から17世紀初頭にかけて、サファヴィー朝のアッバース1世によって建設されたこの広場は、南北512m、東西160mの広大な空間を有しています。広場を囲むように配置された建造物群には、イマーム・モスク、シェイク・ロトフォッラー・モスク、アリー・カプー宮殿などがあり、それぞれが精緻なタイル装飾や建築様式で彩られています。特にイマーム・モスクは、高さ52メートルのメインドームと4本のミナレットを持ち、イランの近世イスラーム建築を代表する傑作として評価されています。この広場の美しさと壮大さから、かつて「エスファハーンを見ることは世界の半分を見ることだ」と称えられるほどの繁栄を誇りました。

カージャール朝の豪華絢爛な宮殿「ゴレスターン宮殿」

ゴレスターン宮殿は、18世紀末にカージャール朝によってテヘランに建設された豪華絢爛な宮殿で、2013年にユネスコ世界遺産に登録されました。「バラの園」を意味するこの宮殿は、ヨーロッパとペルシャの建築様式を融合させた独特の設計が特徴です。特に注目すべきは「輝きの間」と呼ばれる広間で、壁や天井が鏡張りになっており、シャンデリアの光が反射して華やかな雰囲気を醸し出しています。4代目の王ナーセルッディーン・シャーがヨーロッパ文化に影響を受けて建設を命じたこの宮殿は、その後の近代イランの芸術に大きな影響を与え、現在は博物館として一般公開されています。

神秘的な塩の大地「ルート砂漠」

ルート砂漠は、イラン南東部に位置する広大な砂漠で、2016年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。総面積約17万5000平方キロメートルに及ぶこの砂漠は、イランの総面積の約10%を占めています。ルート砂漠は、地球上で最も高い地表面温度を記録した場所の一つとして知られており、夏季には70℃以上の気温を観測したこともあります。この極端な気候条件にもかかわらず、最近の研究では砂漠内に新種の甲殻類が発見されるなど、予想外の生物多様性が確認されています。砂漠の景観は、巨大な砂柱や塩の結晶、ヤルダン地形など、独特の地形が織りなす神秘的な光景を呈しており、その美しさと地質学的重要性が世界遺産登録の理由となりました。

ゾロアスター教の聖地「タフテ・ソレイマーン」

タフテ・ソレイマーンは、イラン北西部の西アーザルバーイジャーン州に位置する古代ゾロアスター教の重要な聖地です。この遺跡は、直径約100メートル、水深約100メートルの火口湖を中心に建てられており、ササン朝ペルシア時代(224-651年)に最盛期を迎えました。ゾロアスター教では火と水を神聖視していたため、火山地帯にあるこの地は特別な宗教的価値を持っていました。タフテ・ソレイマーンには、ゾロアスター教の重要な拝火壇であるアザル・ゴシュナスブ寺院が置かれ、多くの巡礼者が訪れました。この遺跡の建築様式は後のイスラム建築に大きな影響を与え、2003年にユネスコ世界文化遺産に登録されています。

イスラム建築の進化を物語る「エスファハーンのマスジェデ・ジャーメ」

エスファハーンのマスジェデ・ジャーメ(金曜モスク)は、イランのイスラム建築の進化を体現する貴重な遺産です。841年に建設が始まり、1200年以上にわたる増改築を経て、様々な時代の建築様式が融合した「建築様式の博物館」とも呼ばれています。特筆すべきは、イスラム建築で初めて採用された「チャハール・イーワーン様式」で、中庭を4方向からイーワーン(アーチ状のホール)で囲む独特の構造を持ちます。また、セルジューク朝時代に建造された南のドームは、当時のイスラム世界最大規模を誇り、イランで初めての本格的なドーム建築として建築史上重要な意味を持ちます。このモスクは2012年にユネスコ世界遺産に登録され、イランの豊かな建築遺産を代表する存在となっています。

古代エラムの巨大ジッグラト「チョガ・ザンビール」

チョガ・ザンビールは、イラン南西部フーゼスターン州に位置する古代エラム王国の宗教都市遺跡で、1979年にイラン初の世界文化遺産として登録されました。紀元前13世紀にウンタシュ・ナピリシャ王によって建設されたこの遺跡は、メソポタミア地方以外では稀少なジッグラト(聖塔)を有しています。現在の高さは約25mですが、元々は60mほどあったとされ、メソポタミア以外では最大規模のジッグラトです。遺跡は三重の壁で囲まれ、中心にはインシュシナク神に捧げられたジッグラトがあり、その周囲には11の神殿、王宮、墓所などが配置されています。未完成のまま放棄されたこの遺跡は、1935年に発見されるまでほぼ手つかずの状態で保存され、古代エラム文明の建築技術と宗教的重要性を今に伝える貴重な遺産となっています。

イランで世界遺産を観光する際の注意点

イランの世界遺産を観光する際は、いくつかの重要な注意点があります。まず、イスラム教の国であるため、特に女性は肌の露出を控え、スカーフで髪を覆う必要があります。また、多くの遺跡では写真撮影が制限されている場合があるため、事前に確認することが重要です。さらに、一部の地域では安全上の懸念があるため、外務省の海外安全ホームページで最新の情報を確認し、危険とされるエリアには近づかないよう注意が必要です。観光客は現地の文化や習慣を尊重し、礼儀正しく振る舞うことが求められます。また、イランの通貨や両替に関する規制も把握しておくべきでしょう。これらの点に注意を払いつつ、イランの豊かな文化遺産を楽しむことができます。

イランへ世界遺産を見に行こう!

イランには歴史的・文化的価値が高い27カ所の世界遺産が存在し、その多様性と壮大さは訪れる人々を魅了します。特にペルセポリスやチョガー・ザンビールなど、古代文明の遺跡は壮観で、イランの豊かな歴史を物語っています。今回紹介した世界遺産は、イランを訪れる際にぜひ足を運んでほしい名所ばかりです。悠久の歴史に触れ、イランの文化や建築の奥深さを感じる旅を楽しんでください。

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