完成までには300年以上を要すると言われていたスペイン随一の絶景スポット「サグラダ・ファミリア」。ラテン語で、サグラダは「聖なる」、ファミリアは「家族」を意味し…
スペインの世界遺産は50カ所!絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介
スペインは世界遺産の宝庫として知られ、現在50カ所もの世界遺産を有しています。これは世界でも有数の数を誇り、スペインの豊かな歴史と文化を反映しています。古代ローマの遺跡から中世の城塞都市、イスラム文化の影響を受けた建築物、そしてガウディの独創的な作品まで、スペインの世界遺産は多岐にわたります。本記事では、この50カ所の中から、観光客に人気が高く、スペインの魅力を最も体現している世界遺産を厳選してご紹介します。歴史、芸術、建築、自然など、様々な側面からスペインの魅力を堪能できる世界遺産をぜひチェックしてください。
2024年08月30日更新
スペインでおすすめの世界遺産10選
天才建築家の未完の傑作「サグラダ・ファミリア」
サグラダ・ファミリアは、スペインのバルセロナに位置する壮大なバシリカで、アントニ・ガウディの最高傑作として知られています。1882年に着工し、140年以上経った今もなお建設が続いているこの建築物は、ガウディの独創的な建築様式を体現しています。その特徴的な外観は、自然からインスピレーションを得た有機的な形態と、聖書の物語を表現する精緻な彫刻で彩られています。内部は、ガウディの革新的な構造設計により、木々の森を思わせる柱や七色に輝くステンドグラスが訪れる人々を魅了します。近年のIT技術の進歩と観光客増加による資金調達の改善により、2026年の完成が予定されており、ガウディの没後100年にあたるこの年に、彼の夢が実現することが期待されています。ローマ帝国の遺産が息づく街「セゴビア旧市街とローマ水道橋」
セゴビア旧市街とローマ水道橋は、古代ローマから中世にかけての建築遺産が見事に保存された世界遺産です。特に注目すべきは、1世紀頃に建設された全長728メートルのローマ水道橋で、モルタルを使わずに花崗岩のみで構築された驚異的な建造物です。旧市街には、16世紀から18世紀にかけて建てられた後期ゴシック様式のセゴビア大聖堂や、ディズニー映画『白雪姫』の城のモデルとなったアルカサルなど、中世の魅力的な建築物が点在しています。これらの遺産群は、ローマ時代から中世にかけてのセゴビアの繁栄と、建築技術の発展を物語る貴重な証となっています。世界最大のゴシック建築「セビリア大聖堂」
セビリア大聖堂は、スペイン・アンダルシア州セビリアに位置し、世界最大のゴシック様式の教会建築として知られています。1401年に着工され、1506年に完成したこの壮大な建造物は、その圧倒的な規模と芸術的価値により、1987年にユネスコ世界遺産に登録されました。大聖堂の内部には、コロンブスの墓や黄金の祭壇画など、数々の貴重な美術品や歴史的遺物が保管されています。また、隣接するヒラルダの塔は、かつてのモスクのミナレットを改築したもので、セビリアのシンボルとして街を見守っています。セビリア大聖堂は、スペインの宗教的・文化的遺産の重要な一部であり、ゴシック建築の傑作として世界中から多くの観光客を魅了し続けています。三大宗教が共存した歴史の街「古都トレド」
トレドは、キリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三大宗教が長期にわたって共存した稀有な歴史を持つ古都です。8世紀から11世紀までのイスラム教徒支配下でも、キリスト教徒とユダヤ教徒に対して寛容な政策が取られました。1085年にキリスト教徒が再征服した後も、この多文化共生の伝統は続き、12世紀には多くのユダヤ教徒やモサラベ(アラブ化したキリスト教徒)が移住し、13世紀後半にはムデハル(キリスト教支配下のイスラム教徒)も加わりました。この異文化融合の歴史は、ゴシック様式のトレド大聖堂にイスラム建築の影響が見られるなど、現在の街並みにも反映されています。トレドは、中世の多様な文化が織りなす「三教共存の地」として栄え、その独特な景観と歴史的価値により、1986年にユネスコ世界遺産に登録されました。自然と芸術の融合「グエル公園」
グエル公園は、アントニ・ガウディが1900年から1914年にかけて設計した独創的な公共空間で、バルセロナの丘陵地帯に位置しています。当初は60区画の高級住宅地として計画されましたが、実現せず、1922年に公園として一般公開されました。公園内には、ガウディの特徴的な建築要素が随所に見られ、自然と建築の見事な融合を体現しています。特に注目すべきは、カラフルなタイルの破片を用いたトレンカディス技法で装飾された蛇行するベンチや、お菓子の家のような門衛の家です。また、公園からはバルセロナの街を一望でき、自然と都市の調和を感じられる絶景スポットとなっています。1984年にユネスコ世界遺産に登録され、現在はバルセロナで3番目に人気の観光地となっており、ガウディの芸術性と自然への敬意が融合した独特の空間を体験できます。音楽の宮殿「カタルーニャ音楽堂」
カタルーニャ音楽堂は、バルセロナに位置する華麗なコンサートホールで、1905年から1908年にかけて建築家リュイス・ドメネク・イ・モンタネールによって設計されました。モデルニスモ様式の傑作として知られ、1997年にユネスコ世界遺産に登録されています。建物の外観は赤レンガと彩色タイルで装飾され、内部は豪華なモザイクや彫刻で覆われています。特に印象的なのは、2,146席を擁する大ホールの天井に設置された巨大なステンドグラスで、自然光を取り入れ、空間全体を幻想的に彩ります。カタルーニャ音楽堂は、その芸術的価値だけでなく、現役のコンサートホールとしても機能しており、毎年50万人以上の観客を魅了し続けています。イスラム建築の至宝「アルハンブラ宮殿」
アルハンブラ宮殿は、スペインのグラナダに位置する13世紀のイスラム建築の最高傑作です。ナスル朝の王宮として建設されたこの宮殿は、精緻なアラベスク模様、美しい庭園、そして噴水が織りなす水の景観で知られています。宮殿内部には、ライオンの中庭やコマレス宮など、イスラム芸術の粋を集めた空間が広がっています。「赤い城」を意味するアラビア語に由来する名前の通り、赤砂岩と赤煉瓦で築かれた建物が緑の丘の上に映え、訪れる者を魅了します。1492年のレコンキスタ後も破壊を免れ、現在はスペイン屈指の世界遺産として年間多くの観光客を集めています。アルハンブラ宮殿は、イスラム文化とキリスト教文化の融合を象徴する建築物として、歴史的・芸術的価値の高い遺産となっています。黄金に輝く学問の街「サラマンカの旧市街」
サラマンカの旧市街は、スペイン中西部に位置する歴史ある学園都市で、1988年にユネスコ世界遺産に登録されました。13世紀に設立されたスペイン最古の大学を中心に、ロマネスク、ゴシック、ルネサンス、バロック様式の建築物が立ち並び、「ヨーロッパ建築の展覧会」とも呼ばれています。特に、18世紀に造られたバロック様式のマヨール広場や、プラテレスコ様式の傑作であるサラマンカ大学のファサードは必見です。旧市街は酸化鉄を含んだ石で造られているため、陽光を浴びると黄金色に輝くことから「黄金の街」としても知られており、歴史的な魅力と学生街としての活気が共存する独特の雰囲気を醸し出しています。断崖絶壁に建つ魔法の街「歴史的城塞都市クエンカ」
クエンカは、スペイン中央部のラ・マンチャ地方に位置する独特な世界遺産都市です。フカル川とウエカル川に挟まれた断崖絶壁の上に築かれ、その特異な景観から「魔法にかけられた街」と呼ばれています。9世紀にイスラム教徒によって要塞として建設され、12世紀から18世紀にかけての歴史的建造物が数多く残っています。特に有名なのは14世紀に建てられた「宙吊りの家」で、崖の縁ぎりぎりに建ち、バルコニーが完全に崖からせり出した不安定な姿がクエンカのシンボルとなっています。1996年に世界遺産に登録されたクエンカの旧市街は、ゴシック様式の大聖堂やマヨール広場など、中世の面影を色濃く残す建造物群と、断崖に建つ独特の都市景観が評価されています。巡礼路の終着点「サンティアゴ デ コンポステーラ大聖堂」
サンティアゴ・デ・コンポステーラ大聖堂は、スペイン北西部ガリシア州に位置し、キリスト教の三大聖地の一つとして知られる巡礼路の終着点です。11世紀に建設が始まり、ロマネスク様式を基調としながら、ゴシック、バロック、プラテレスコなど様々な建築様式が融合した壮大な建造物です。大聖堂の正面にある「栄光の門」は、12世紀の彫刻家マテオによって作られ、約200体の聖人像が刻まれた傑作として有名です。内部には、聖ヤコブの墓とされる場所があり、多くの巡礼者が祈りを捧げます。毎日正午に行われる「巡礼者のミサ」では、巡礼を完了した人々を歓迎し、時には巨大な香炉「ボタフメイロ」が天井から吊るされ、儀式の一部として振り子のように揺らされます。スペインの世界遺産は全部で50カ所登録されている!
スペインは世界有数の世界遺産大国であり、2024年現在、全50件の世界遺産が登録されています。その内訳は文化遺産44件、自然遺産4件、複合遺産2件となっています。これはイタリアと中国に次ぐ世界第3位の登録数です。スペインの世界遺産は、古代ローマの遺跡、イスラム建築、中世の教会や修道院、ルネサンス様式の建造物群、そして近代の建築作品まで、多様な時代と文化を反映しています。また、ドニャーナ国立公園やガラホナイ国立公園などの自然遺産も含まれており、スペインの豊かな生態系と景観も世界的に評価されています。これらの世界遺産は、スペインの長い歴史と文化的多様性を物語る貴重な遺産として、国内外から多くの観光客を惹きつけています。スペインの世界遺産一覧表
世界遺産登録名 | 登録年 | 種別 |
---|---|---|
アルタミラ洞窟と北スペインの旧石器時代洞窟美術 | 1985 | 文化遺産 |
アビラ旧市街と市壁外の教会群 | 1985 | 文化遺産 |
バルデスウノとレオナールのプレロマネスク建築群 | 1985 | 文化遺産 |
アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区 | 1998 | 文化遺産 |
サラマンカ旧市街 | 1988 | 文化遺産 |
エル・エスコリアル修道院と王室霊廟 | 1984 | 文化遺産 |
セゴビア旧市街と水道橋 | 1985 | 文化遺産 |
クエンカ旧市街 | 1996 | 文化遺産 |
グエル公園、グエル邸、カサ・ミラのガウディの作品群 | 1984 | 文化遺産 |
グラナダのアルハンブラ宮殿、ヘネラリーフェ、アルバイシン地区 | 1984 | 文化遺産 |
ラス・メドゥラス | 1997 | 文化遺産 |
ルゴのローマの城壁 | 2000 | 文化遺産 |
メリダの考古遺跡群 | 1993 | 文化遺産 |
バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ | 1996 | 文化遺産 |
ドニャーナ国立公園 | 1994 | 自然遺産 |
サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路 | 1993 | 文化遺産 |
テイデ国立公園 | 2007 | 自然遺産 |
アランフエスの文化的景観 | 2001 | 文化遺産 |
アタプエルカの考古遺跡 | 2000 | 文化遺産 |
バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院 | 1997 | 文化遺産 |
トレド旧市街 | 1986 | 文化遺産 |
メディナ・アサハラ | 2018 | 文化遺産 |
アビラ旧市街と市壁外の教会群 | 1985 | 文化遺産 |
アラゴン王国のムデハル様式の建造物群 | 1986, 2001 | 文化遺産 |
カルタヘナのローマ劇場 | 1996 | 文化遺産 |
カセレス旧市街 | 1986 | 文化遺産 |
トラミンタナ山脈の文化的景観 | 2011 | 文化遺産 |
ビルヘン・デル・ロシオとその巡礼路 | 2011 | 文化遺産 |
サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院 | 1993 | 文化遺産 |
カセレス旧市街 | 1986 | 文化遺産 |
マドリードの歴史地区とその文化的景観 | 2021 | 文化遺産 |
バルデスウノの洞窟壁画 | 1995 | 文化遺産 |
アンドーラとアルタ・フランスのポン・ヌフ、カサ・デ・ラ・バジェ、カサ・デ・レスタベリエ | 1993 | 文化遺産 |
アストゥリアスのプレロマネスク建築群 | 1985 | 文化遺産 |
マディーナ・アサーラのカルロス5世の邸宅 | 2009 | 文化遺産 |
アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区 | 1998 | 文化遺産 |
アビラ旧市街と市壁外の教会群 | 1985 | 文化遺産 |
ウベダとバエサのルネサンス建築群 | 2003 | 文化遺産 |
グラン・カナリアのロケ・ベント・グアヤデーク自然保護区 | 1996 | 自然遺産 |
ビルヘン・デル・ロシオの巡礼路 | 2010 | 文化遺産 |
アラゴンのモリノ・デ・レオニーダスの水車群 | 2020 | 文化遺産 |
エルチェのパルメラル | 2000 | 文化遺産 |
アルカラ・デ・エナレスの大学と歴史地区 | 1998 | 文化遺産 |
グエル公園、グエル邸、カサ・ミラのガウディの作品群 | 1984 | 文化遺産 |
グアディアナ川の自然環境と生物多様性 | 2020 | 自然遺産 |
エルチェのパルメラル | 2000 | 文化遺産 |