スイスの世界遺産は12カ所!絶対に見ておきたい有名な世界遺産を厳選して紹介

スイスは、その美しい自然景観と豊かな文化遺産で知られる国です。ユネスコ世界遺産に登録された12の貴重な遺産は、この小さな国の多様性と魅力を如実に物語っています。アルプスの雄大な山々から中世の歴史的建造物まで、スイスの世界遺産は訪れる人々を魅了し続けています。本記事では、これらの世界遺産の中から、特に見逃せない有名な遺産をいくつか厳選してご紹介します。自然と文化が見事に調和したスイスの世界遺産を通じて、この国の奥深さを感じてみましょう。

2024年07月26日更新


スイスの世界遺産は全部で12カ所登録されている!

スイスには現在、ユネスコ世界遺産に登録された貴重な遺産が合計12カ所あります。これらは9カ所の文化遺産と4カ所の自然遺産から構成されており、小国でありながら豊かな歴史と自然を有するスイスの多様性を反映しています。世界遺産には、ベルン旧市街やザンクト・ガレン修道院などの歴史的建造物、レーティッシュ鉄道アルブラ線/ベルニナ線とその周辺景観、ラヴォー地区の葡萄畑といった文化的景観、そしてスイスアルプス ユングフラウ-アレッチなどの自然遺産が含まれています。これらの世界遺産は、スイスの文化的・自然的価値を国際的に認められた形で後世に伝える重要な役割を果たしています。

スイスの世界遺産一覧表

世界遺産登録名 登録年 種別
ベルン旧市街 1983年 文化遺産
ザンクト・ガレンの修道院 1983年 文化遺産
ミュスタイルのベネディクト会 聖ヨハネ修道院 1983年 文化遺産
ベリンツォーナ旧市街にある3つの城、要塞及び城壁 2000年 文化遺産
スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチュ 2001年 自然遺産
サン・ジョルジオ山 2003年 自然遺産
ラヴォー地区の葡萄畑 2007年 文化遺産
レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観 2008年 文化遺産
スイスのサルドーナ地殻変動地帯 2008年 自然遺産
ラ・ショー-ド-フォン/ル・ロクル、時計製造の町 2009年 文化遺産
アルプス山系の先史時代杭上住居跡群 2011年 文化遺産
ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献 2016年 文化遺産

スイスでおすすめの世界遺産12選

中世の魅力を堪能!「ベルン旧市街」

ベルン旧市街は、中世の魅力を色濃く残す美しい街並みで知られ、1983年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。12世紀に建設されたこの旧市街は、アーレ川に囲まれた半島上に位置し、中世の都市計画をほぼ完全に保存しています。特徴的な石畳の通りや、赤い屋根の建物、そして6kmにも及ぶアーケード(ラウベン)が街の魅力を高めています。旧市街の中心にある時計塔(ツィットグロッゲ)は、毎正時に人形が動く仕掛け時計で観光客を魅了し、また、アインシュタインが「相対性理論」を考案したとされる家も見学することができます。ベルン旧市街は、その歴史的価値と美しさから、ヨーロッパの中でも特に魅力的な中世の街並みの一つとして評価されています。

歴史と文化の中心地「ザンクト・ガレンの修道院」

ザンクト・ガレン修道院は、スイス北東部に位置する中世ヨーロッパの知の中心地として知られる世界遺産です。613年にアイルランドの修道士ガルスが創設した小さな庵を起源とし、8世紀には修道院として発展しました。18世紀に改装された現在の建物は後期バロック様式の傑作とされ、特に付属図書館はロココ様式の美しい大広間を有しています。この図書館には、約15万冊の蔵書と2000冊を超える貴重な写本が保管されており、中世ヨーロッパの文化遺産として高く評価されています。1983年にユネスコ世界文化遺産に登録されたザンクト・ガレン修道院は、その歴史的価値と文化的影響力により、スイスを代表する重要な遺産の一つとなっています。

神秘的な古代の祈りの場所「ミュスタイルのベネディクト会 聖ヨハネ修道院」

ミュスタイルのベネディクト会聖ヨハネ修道院は、スイス・グラウビュンデン州の小さな村ミュスタイアに位置する、8世紀にカール大帝の命により建立された歴史的建造物です。9世紀にベネディクト会の宗教施設となり、12世紀からは女子修道院として機能しました。この修道院は、カロリング様式の建築として希少な保存状態の良さを誇り、1983年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。特筆すべきは、修道院内部に残る9世紀の壁画群で、これらは中世ヨーロッパの芸術史上極めて重要な価値を持つとされています。イタリア国境に近い谷奥に位置するこの修道院は、その歴史的価値と芸術的魅力により、スイスの重要な文化遺産の一つとして認識されています。

壮大な歴史の証「ベリンツォーナ旧市街にある3つの城、要塞及び城壁」

ベリンツォーナ旧市街にある3つの城、要塞及び城壁は、スイス・ティチーノ州の州都ベリンツォーナに位置し、2000年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。ティチーノ川の狭い谷間に位置するこの遺産は、3つの古城(カステル・グランデ、モンテベッロ城、サッソ・コルバロ城)と城壁、そして古い町並みから構成されています。これらの防御施設は、アルプスを越えてイタリアへ向かう重要な交通路を守るために築かれ、13世紀から15世紀にかけて建設されました。城壁は残存部分だけでも400mに及び、その規模の大きさと保存状態の良さから、中世の軍事建築の傑作として高く評価されています。

壮大な自然の絶景「スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチュ」

スイス・アルプス ユングフラウ-アレッチュは、2001年にユネスコ世界自然遺産に登録された壮大な高山景観を誇る地域です。アイガー、メンヒ、ユングフラウという3つの名峰と、ヨーロッパ最大のアレッチ氷河を含む総面積824km²のエリアが、その圧倒的な自然美で世界的に認められています。この地域は、多様な気候帯と生態系を有し、氷河期からの植物の変遷が観察できる貴重な場所でもあります。また、アルピニズムの歴史や山岳観光の発展に重要な役割を果たしたことも評価され、2007年にはベルナーアルプスの山々を含むエリアまで拡大登録されました。

ユニークな地質学的景観「サン・ジョルジオ山」

サン・ジョルジョ山は、スイス南部のティチーノ州に位置する標高1,097メートルの低山で、2003年7月2日にユネスコ世界自然遺産に登録されました。この山の特筆すべき点は、約2億4千5百万年前から2億3千万年前の三畳紀中期の貴重な化石が豊富に産出することです。浅海から陸地への移行期に生息していた海洋生物や陸上生物の化石が1万点以上も発見されており、その保存状態の良さから古生物学的・地質学的に極めて重要な場所とされています。サン・ジョルジョ山は、長年にわたる研究の結果、多くの種の名前がこの地に由来するなど、科学的にも貴重な遺産となっています。

美しい葡萄畑の風景「ラヴォー地区の葡萄畑」

ラヴォー地区の葡萄畑は、レマン湖畔に広がる絶景で知られ、2007年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。ローザンヌからモントルー郊外まで続くこの地域は、約1000年の歴史を持つワイン造りの伝統と、テラス状に連なる美しい葡萄畑、そして点在する小さな村々が織りなす独特の文化的景観が評価されています。ラヴォー地区では、葡萄畑の間を縫うように作られた小道を歩くハイキングが人気で、訪れる人々は中世から続く伝統的な葡萄畑と、きらめくレマン湖、雄大なアルプスの絶景を楽しむことができます。

絶景を楽しむ鉄道の旅「レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観」

レーティシュ鉄道アルブラ線・ベルニナ線と周辺の景観は、2008年にユネスコ世界遺産に登録された、スイスとイタリアにまたがる壮大な鉄道遺産です。この鉄道は、アルプスの雄大な自然を巧みに利用し、最大70‰の急勾配や美しいヘアピンカーブを駆使して、標高差1,824mを走破します。特に、アルブラ線のランドヴァッサー橋や、ベルニナ線のオスピツィオ・ベルニナ駅周辺の氷河湖の景観は、乗客を魅了する絶景ポイントとして知られています。100年以上の歴史を持つこの鉄道は、技術的革新と自然景観の調和を体現し、スイスの観光産業発展に大きく貢献してきました。

地球の歴史を感じる「スイスのサルドーナ地殻変動地帯」

スイスのサルドーナ地殻変動地帯は、アルプス山脈形成の過程を示す貴重な地質学的証拠を提供する世界遺産です。スイス東部に位置するこの地域は、328.5平方kmにわたり、地殻変動によって生じた独特の地層構造を露出させています。特に注目すべきは、チンゲルホルン山頂付近に見られる「マジックライン」と呼ばれる30km以上にわたって続く直線的な地層の線で、これはアフリカ大陸の地層がアルプスの山頂に乗り上げた証拠とされています。この地域は、プレートテクトニクス理論の立証に貢献し、地球のダイナミックな歴史を目の当たりにできる貴重な場所として、2008年にユネスコ世界自然遺産に登録されました。

時計製造の歴史を紐解く「ラ・ショー-ド-フォン/ル・ロクル、時計製造の町」

ラ・ショー=ド=フォンとル・ロクルは、スイスの時計製造業の中心地として知られ、2009年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。これらの町は17世紀から時計製造の伝統を持ち、19世紀に大火災後、時計産業に特化した都市計画に基づいて再建されました。特にラ・ショー=ド=フォンは、1656年にコミューンとして成立し、1780年以降、時計製造業、レース製造業、金属細工などにより経済が発展しました。両都市は、時計職人たちのニーズに合わせて計画的に設計され、住居と作業場が融合した独特の街並みを形成しており、産業革命期の都市計画の優れた例として評価されています。

先史時代の暮らしを探る「アルプス山系の先史時代杭上住居跡群」

アルプス山系の先史時代杭上住居跡群は、紀元前5000年から紀元前500年頃にかけてアルプス山脈周辺の湖や川、湿地沿いに建てられた先史時代の高床式住居の遺跡群です。スイス、イタリア、ドイツ、フランス、オーストリア、スロベニアの6カ国にまたがる111の遺跡が2011年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。これらの遺跡からは、当時の人々の生活を示す骨や道具が良好な状態で出土しており、新石器時代から青銅器時代にかけてのアルプス周辺の人々の暮らしや文化を知る上で貴重な考古学的証拠となっています。

近代建築の巨匠「ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献」

ル・コルビュジエの建築作品は、近代建築運動に多大な影響を与えた傑作として、2016年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。この遺産は、3大陸7カ国に点在する17の建築作品から構成されており、スイス生まれの建築家ル・コルビュジエ(1887-1965)の革新的な思想を体現しています。彼が提唱した「近代建築の5原則」(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、横長の窓、自由な立面)や、鉄筋コンクリート造による「ドミノ・システム」は、20世紀の建築に革命をもたらしました。日本では東京・上野の国立西洋美術館がこの世界遺産の一部として認定され、ル・コルビュジエの建築理念を体現する重要な作品となっています。

スイスで世界遺産を観光する際の注意点

スイスの世界遺産を観光する際は、いくつかの重要な点に注意する必要があります。まず、多くの遺産が高山地帯にあるため、天候の変化に備えて適切な服装と装備を準備することが不可欠です。また、自然遺産を訪れる際は、環境保護のためにゴミを持ち帰り、指定された道以外には立ち入らないようにしましょう。文化遺産では、写真撮影が制限されている場所もあるので、事前に確認することが重要です。さらに、スイスの公共交通機関は正確で効率的ですが、山岳地帯では運行本数が限られる場合があるため、時刻表をよく確認し、余裕を持って行動することをおすすめします。

スイスへ世界遺産を見に行こう!

スイスは小国ながら、13の世界遺産を有する文化と自然の宝庫です。ベルン旧市街やザンクト・ガレン修道院などの歴史的建造物、ラヴォーのブドウ畑やレーティッシュ鉄道といった文化的景観、そしてユングフラウ-アレッチュやサン・ジョルジオ山などの壮大な自然遺産まで、多様な魅力に溢れています。これらの遺産は、スイスの豊かな歴史と文化、そして比類なき自然美を体現しており、訪れる人々に深い感動を与えます。世界遺産を巡る旅は、スイスの本質を理解する最高の方法と言えるでしょう。

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